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レイカーズ売却はわずか72時間で決着 ジーニー・バスは公表数時間前まで知らされてなかった、残る支配権争い
2026年10月28日
ロサンゼルス・レイカーズのオーナーシップを巡る状況が、わずか数日のうちに再び大きく動いた。
マーク・ウォルターは2026年8月、ボブ・アイガーとジョシュ・クシュナーのグループにレイカーズ株式を売却することで合意した。
評価額は125億ドル。しかも交渉は、最初の打診から合意まで約72時間という異例のスピードで進んだ。
8月9日、突然始まった売却交渉
売却話が動き始めたのは8月9日。
ウォルターは携帯電話の電波も不安定な牧場に滞在していた際、知人から「レイカーズを売る意思はあるか」と連絡を受けた。
当初、ウォルターは「レイカーズは売りに出していない」と断った。しかしアイガーとクシュナー側は、従来からレガシー級のNBAフランチャイズ取得を検討しており、ウォルターに対して直接交渉を仕掛けた。
125億ドル、14カ月で25%上昇
クシュナーはウォルターに対し、レイカーズを125億ドル評価で買う提案を提示した。
これはウォルターが約14カ月前にバス家から支配株を取得した際の100億ドル評価から25%高い水準だった。
ウォルターは家族とも相談し、売却のメリットを検討。最終的に8月11日夜までにアイガー、クシュナー側と合意した。最初の打診から約72時間だった。
ジーニー・バスが知ったのは公表の数時間前
さらに驚くのは、ジーニー・バスの立場だ。
ジーニーがウォルターによる売却合意を知ったのは、ESPNが8月12日に報じるわずか数時間前だったという。
関係者によれば、ジーニーはこの知らせに驚いた。
これは、ジーニー自身がウォルターを「後継者」として選んでいた経緯を考えると重い意味を持つ。
2021年、ジーニーがウォルターを後継者に選んだ
ジーニーは2021年、フィリップ・アンシュッツが保有していたレイカーズ株式をウォルターに取得するよう働きかけた。
その株式取得によって、ウォルターは将来バス家が支配株を売却する際の優先交渉権を得た。
ジーニーがウォルターを選んだ理由には、ロサンゼルス・ドジャースでの運営実績や、マジック・ジョンソン、ビリー・ジーン・キングらからの高い評価があったとされる。
ウォルターは「長期保有する後継者」のはずだった
ウォルターはその後、バス家の支配株を100億ドル評価で取得。
その契約には、ジーニーが5年間、コントローリング・オーナーとして残る条項も盛り込まれていた。
つまりジーニー側の認識では、ウォルターは短期売却を狙う投資家ではなく、ドジャースと同じようにレイカーズを長期保有するオーナーになるはずだった。
しかし実際には、支配株取得から約10カ月後に再売却へ動いた。
「10カ月で25億ドルを稼いだ」
バス家の関係者の一人は、ウォルターの行動について、レイカーズを不動産物件のように“フリップ”したと批判した。
100億ドル評価で取得した資産を125億ドル評価で売却するため、単純な評価額ベースでは25億ドルの上昇となる。
ウォルター本人は、今回の売却について最初の声明以外ではほとんど公に説明していない。
アイガー、売却後すぐにジーニーと非公開面会
売却合意後、ロサンゼルスへ戻ったボブ・アイガーが自宅に最初に招いた人物がジーニー・バスだった。
アイガーはそこで、売却完了後もジーニーを何らかの形でレイカーズに残す意向を改めて伝えたという。両者はその後も定期的に連絡を取っている。
アイガーは公の場でも、新オーナーグループがウォルターとジーニーの契約を尊重する考えを示している。
しかしジーニーが残れるかは「バス家の争い」次第
問題は、ジーニーとアイガーの関係だけではない。
バス家は現在もレイカーズ株式の17.8%を保有している。
5人の兄弟姉妹は、その残りの株式もアイガーとクシュナー側へ売却することに賛成した。
一方、ジーニーはその投票に参加せず、売却手続きの合法性を争っている。
NBAの15%ルールがジーニーの立場を左右
NBAでは、コントローリング・オーナーが少なくとも15%以上の持分を保有する必要がある。
現在バス家が保有している17.8%をすべて売却すれば、ジーニーがコントローリング・オーナーとして残る前提そのものが崩れる可能性がある。
そのため現在の争点は、単なる「株を売るかどうか」ではなく、
ジーニーがレイカーズの支配権を維持できるのか
という問題に直結している。
兄弟姉妹5人は売却、ジーニーは反対
8月17日、ジョニー、ジム、ジェイニー、ジョーイ、ジェシーの5人は、バス家が保有する残りの株式を売却することに賛成した。
ジーニーは唯一投票に参加せず、後に弁護士を通じて投票の有効性を争った。
ジーニー側は2017年の裁判所命令を根拠に、共同トラスティーであるジェイニーとジョーイは、ジーニーをコントローリング・オーナーとして維持するよう投票する義務があると主張している。
12月8日までに解決しなければ法廷へ
両陣営はここ数カ月、和解交渉を続けている。
ただし合意できなければ、12月8日に裁判所で審理が行われる予定となっている。
兄弟姉妹5人がバス家の全持分を売却できるのか、それともジーニーが一定の持分と支配権を維持できるのか。
ここが今後の最大の争点となる。
ルカ・ドンチッチにも影響
今回の売却劇は、フロントオフィスやオーナーシップだけの問題ではない。
ジーニーは以前、ルカ・ドンチッチ陣営に対して、自身が5年間コントローリング・オーナーとして残る契約を示し、バスケットボール面で最終決定権を維持すると説明していた。
ところが、その前提となるオーナー構造自体がわずか数カ月で再び変わろうとしている。
ドンチッチ自身も売却を知る直前まで状況を知らず、近年相次ぐ大型トレードやオーナー変更について、「もう大きな変化には慣れた」という趣旨の反応を示した。
72時間で決まった売却、しかし問題はまだ終わっていない
ウォルターへの売却だけでも、バス家による約半世紀の支配が終わる歴史的な出来事だった。
ところがその約10カ月後、ウォルターは再びレイカーズを125億ドル評価で売却。
しかも交渉はわずか72時間。
ジーニー自身が知ったのも公表直前だった。
新オーナーとなるアイガーとクシュナーはジーニーとの関係維持を望んでいる一方、バス家内部では残り17.8%を巡る争いが続いている。
レイカーズの売却劇は終わったのではなく、所有権の形がまだ確定していない。
今後は12月8日の法廷審理、あるいはそれ以前の和解によって、ジーニー・バスがレイカーズにどのような形で残るのかが決まることになる。
構成●NBA Front Office Japan編集部