NBAの1st Apronと2nd Apronとは?
数値は2026-27シーズン(2026年7月1日から適用)のNBA公式発表、制限の内容はNBAが作成した労使協定の要点まとめ(CBA 101)にもとづきます。仕組みの解説は公式資料をもとにした当サイト独自の要約です。
Summary
まず結論
- ・1st Apronと2nd Apronは、タックスラインよりさらに上に設定された、年俸総額の2つの基準額です。
- ・Apron自体は税金ではなく、超えると使える補強手段(契約やトレードの方法)が段階的に制限されます。
- ・2nd Apronを超えると制限がさらに増え、ドラフト1巡目指名権がトレードできなくなるペナルティもあります。
Where they sit
1st Apronと2nd Apronの位置づけ
年俸総額の基準は、下からサラリーキャップ、タックスライン、1st Apron、2nd Apronの順に並んでいます。Apronは、その中でいちばん上にある2段です。
- 1サラリーキャップここを下回っていれば、キャップスペースで自由に補強できる
- 2タックスライン超えるとラグジュアリータックスを支払う
- 31st Apron超えると一部の補強手段が使えなくなる(このページ)
- 42nd Apronさらに多くの補強手段が使えなくなり、指名権のペナルティもある(このページ)
- 判定に使う年俸総額:通常の年俸総額をもとに、FA選手の保留額やドラフト1巡目指名権の保留額を除くなどの調整をした額(Apron Team Salary)で判定します。
- 基準額は毎年改定:1st Apronと2nd Apronは、サラリーキャップと同じ伸び率で毎年見直されます。
2026-27シーズンの基準額
| 項目 | 金額(公式発表) | 日本語表記 |
|---|---|---|
| 最低総年俸(Minimum Team Salary)チームが最低限払わなければならない年俸総額 | $148.465M | 1億4,846万5,000ドル |
| サラリーキャップ(Salary Cap)キャップスペースの計算に使う基準額 | $164.961M | 1億6,496万1,000ドル |
| タックスライン(Tax Level)超えるとラグジュアリータックスの対象 | $200.428M | 2億42万8,000ドル |
| 1st Apron(First Apron Level)超えると一部の補強手段が使えない | $209.015M | 2億901万5,000ドル |
| 2nd Apron(Second Apron Level)さらに厳しい制限とドラフト指名権のペナルティ | $221.686M | 2億2,168万6,000ドル |
- 最低総年俸(Minimum Team Salary)
- チームが最低限払わなければならない年俸総額
- $148.465M1億4,846万5,000ドル
- サラリーキャップ(Salary Cap)
- キャップスペースの計算に使う基準額
- $164.961M1億6,496万1,000ドル
- タックスライン(Tax Level)
- 超えるとラグジュアリータックスの対象
- $200.428M2億42万8,000ドル
- 1st Apron(First Apron Level)
- 超えると一部の補強手段が使えない
- $209.015M2億901万5,000ドル
- 2nd Apron(Second Apron Level)
- さらに厳しい制限とドラフト指名権のペナルティ
- $221.686M2億2,168万6,000ドル
出典:NBA Communications「NBA sets Salary Cap for 2026-27 season at $164.961 million」(2026年6月30日公開)。2026年7月1日 午前0時1分(米東部時間)から適用。$1M=100万ドル。当サイトでの確認日:2026年10月2日。
Differences
サラリーキャップ・ラグジュアリータックスとの違い
3つの仕組みはどれも年俸総額に関するルールですが、超えたときに起きることと判定のタイミングが異なります。
| 仕組み | 超えると何が起きるか | 判定のタイミング |
|---|---|---|
| サラリーキャップ | 下回っていれば、キャップスペースでFA選手と契約できる。超えても例外を使えば契約できる。 | 契約や取引をするとき |
| ラグジュアリータックス | タックスラインを超えた額に応じて税金を支払う。支払えば超えていてよい。 | レギュラーシーズン最終日の時点 |
| 1st Apron / 2nd Apron | 税金ではなく、特定の補強手段が使えなくなる。超える結果になる取引そのものができない。 | 取引の直後。対象の手段を使った年度は、その年度の終わりまで |
- サラリーキャップ
- 下回っていれば、キャップスペースでFA選手と契約できる。超えても例外を使えば契約できる。
- 判定:契約や取引をするとき
- ラグジュアリータックス
- タックスラインを超えた額に応じて税金を支払う。支払えば超えていてよい。
- 判定:レギュラーシーズン最終日の時点
- 1st Apron / 2nd Apron
- 税金ではなく、特定の補強手段が使えなくなる。超える結果になる取引そのものができない。
- 判定:取引の直後。対象の手段を使った年度は、その年度の終わりまで
ラグジュアリータックスは「お金を払えば超えてよい」仕組みですが、Apronは「超える結果になる取引はできない」制限です。お金では解決できない点が、Apronの大きな特徴です。
First Apron
1st Apronを超えると何が変わるか
取引をした直後の年俸総額が1st Apronを超えることになる場合、次の補強手段は使えません。
- Bi-annual Exceptionを使った選手の契約・獲得
- 通常のMLE(Non-Taxpayer MLE)を使った選手の契約・獲得
- サイン・アンド・トレードでの選手の獲得
- シーズン中に契約を解除された選手のうち、解除前の年俸が通常のMLEの額を上回っていた選手との、同じレギュラーシーズン中の契約
- Expanded Traded Player Exception(受け入れられる年俸の上限が広がるトレード例外)を使った獲得
- 前の年度以前に生じたTraded Player Exceptionを使った獲得
一度使うと、その年度の上限になる
- 上のいずれかの手段を使ったチームは、その年度(7月1日〜翌年6月30日)が終わるまで、年俸総額を1st Apron以下に保つ必要があります。
- Taxpayer MLEを使ったチームも、その年度は上の手段を使えなくなります。
トレードの上乗せ枠がなくなる
- 標準的なトレード例外では、放出した選手の年俸に25万ドルを上乗せした額まで受け入れられます。ただし、取引後の年俸総額が1st Apronを超える場合、この25万ドルの上乗せはなくなります。
Second Apron
2nd Apronを超えると何が変わるか
1st Apronの制限に加えて、取引をした直後の年俸総額が2nd Apronを超えることになる場合、次の手段も使えません。
- 複数選手の年俸を合算して使うトレード例外(Aggregated Standard Traded Player Exception)での獲得
- トレードでの現金の支払い
- サイン・アンド・トレードで放出した選手から生じたTraded Player Exceptionを使った獲得
- Taxpayer MLEを使った選手の契約
上のいずれかの手段を使ったチームは、その年度が終わるまで、年俸総額を2nd Apron以下に保つ必要があります。
ドラフト1巡目指名権へのペナルティ
- 指名権の凍結:レギュラーシーズン最終戦の開始時点で2nd Apronを超えていると、7年後のドラフト1巡目指名権がトレードできなくなります。
- 1巡目の最後へ移動:その後の4シーズンのうち2シーズン以上で再び2nd Apronを超えると、凍結された指名権は1巡目の最後の順位に回され、引き続きトレードできません。
- 凍結の解除:反対に、その後の4シーズンのうち3シーズン以上で2nd Apron以下に収めると、凍結は解除されます。
※ 制限の対象となる取引の細かな条件や例外は、ここでは省略しています。詳細は下の公式資料(CBA・CBA 101)を参照してください。
Team building
チーム編成・トレードに与える影響
- FAでの補強が限られる:1st Apronを超えるチームは通常のMLEやBi-annual Exceptionを使えないため、他チームのFA選手に提示できる条件が限られます。
- トレードの組み方が変わる:2nd Apronを超えるチームは、複数選手の年俸をまとめて1人の選手と交換する形のトレード例外を使えず、トレードで現金を出すこともできません。
- シーズン中の補強にも影響:1st Apronを超えるチームは、シーズン中に契約を解除された高年俸の選手を獲得できないなど、シーズン途中の補強手段も限られます。
- 将来の指名権を取引材料にしにくい:2nd Apronを超えると7年後の1巡目指名権が凍結されるため、その指名権をトレードに使えなくなります。
- オフシーズン前のトレードは翌年度でも判定:レギュラーシーズン終了から6月30日までの一部のトレードは、翌年度の年俸総額と基準額でもApronを超えないかが判定されます。
- 年俸総額を抑える判断:こうした制限を避けるため、Apronを下回るように年俸総額を調整するかどうかが、編成上の大きな判断材料になります。
Glossary
関連用語
- Apron Team Salary
- Apronの判定に使う年俸総額。通常の年俸総額をもとに、FA選手の保留額やドラフト1巡目指名権の保留額を除くなどの調整をした額。
- Traded Player Exception(TPE)
- キャップを超えたチームが、トレードで放出した選手の年俸をもとに、別の選手を受け入れられる例外。
- Aggregated / Expanded TPE
- 複数選手の年俸を合算して使えるトレード例外。Expandedは受け入れられる年俸の上限が広がる。Expandedは1st Apron、Aggregatedは2nd Apronを超えるチームは使えない。
- Bi-annual Exception
- キャップを超えたチームが、一定額までの契約を結べる例外。1st Apronを超えるチームは使えない。
- Non-Taxpayer MLE / Taxpayer MLE
- キャップを超えたチームが使えるミッドレベル例外。1st Apronを超えると金額の小さいTaxpayer MLEしか使えず、2nd Apronを超えるとそれも使えない。
- サイン・アンド・トレード
- FA選手が元のチームと契約し、そのまま別のチームへトレードされる取引。1st Apronを超えるチームは、この方法で選手を獲得できない。
- 指名権の凍結(Frozen Pick)
- 2nd Apronを超えたチームの、7年後のドラフト1巡目指名権がトレードできなくなるペナルティ。
- サラリーキャップ
- 1チームが選手に払う年俸総額の基準となる上限。例外を使えば超えて契約できるソフトキャップ。
- ラグジュアリータックス
- 年俸総額がタックスラインを超えたチームが支払う税金。超過額が大きいほど税率が上がる。
リンクのない用語の詳しいガイドは準備中です。
Official sources
公式一次資料
- NBA sets Salary Cap for 2026-27 season at $164.961 million ↗
NBA Communications(pr.nba.com) ・ 2026年6月30日公開
このページの2026-27シーズンの数値の出典
- NBA sets salary cap for 2026-27 season at $164.961 million ↗
NBA.com ・ 2026年6月30日公開
同じ発表のNBA.com掲載記事
- 2023 NBA Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2023年7月1日発効(2029-30シーズンまで)
NBAとNBPA(選手会)の労使協定の原文
- CBA 101: Highlights of the Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2024年11月作成
NBAによる労使協定の要点まとめ。このページの仕組みの解説の根拠
このページは上記の公式資料をもとにした当サイト独自の解説です。協定の条文を転載・翻訳したものではありません。