NBAのRevenue Sharingとは?
NBAの公式発表と労使協定(CBA)、NBAが作成した労使協定の要点まとめ(CBA 101)で確認できる内容をもとにした、当サイト独自の解説です。公式資料で確認できない分配の条件や金額は掲載していません。
Summary
まず結論
- ・Revenue Sharing(収益分配)は、NBAのチーム同士で収入の一部を分け合う仕組みです。
- ・チームごとの収入の差を和らげ、リーグ全体の競争バランスを保つことが目的とされています。
- ・選手の年俸の基準であるサラリーキャップや、税金であるラグジュアリータックスとは別の仕組みです。
What it is
Revenue Sharingとは何か
- リーグが決める仕組み:2011年12月、NBAのBoard of Governors(オーナー会議)が、新しい収益分配計画を承認しました。チーム間で分け合う資金を、それまでの4倍にする内容と発表されています。
- 選手会との労使協定とは別:この計画はチーム同士の取り決めです。労使協定(CBA)では、チーム間の収益分配は、選手の取り分やサラリーキャップの計算のもとになるBRI(バスケットボール関連収入)に含めない収入として扱われています。
公式資料で確認できること
- ・2011年に新しい計画が承認されたこと
- ・分け合う資金が従来の4倍になること
- ・目的が競争バランスの改善であること
- ・チーム間の分配はBRIに含めないこと
このページで扱わないこと
- ・どのチームがいくら拠出・受け取るか
- ・分配額の計算方法や対象となる条件
- ・その後の見直しを含む現在の詳細
確認した公式資料に記載が無いため、推測では書いていません。
Why it exists
なぜ収益分配が必要なのか
2011年の公式発表では、収益分配の改善によってリーグの競争バランスを良くすることが目的として挙げられています。その背景には、次のような構造があります。
- 収入はチームごとに違う:チケット、スポンサー、地元向けの放送などの収入は、本拠地の市場規模や人気によって差が出ることがあります。
- 年俸のルールは全チーム共通:サラリーキャップやタックスラインなどの基準額は、全チームに同じ金額が適用されます。最低総年俸も全チームに共通で、収入が少ないチームにも一定以上の年俸負担があります。
- 差を和らげる役割:収入の差が大きいままだと、同じルールの中でも使えるお金に余裕の差が生まれます。チーム間で収入の一部を分け合うことで、その差を和らげるのが収益分配の考え方です。
Market size
チーム間の競争力と市場規模との関係
- 市場規模の違い:人口や経済規模の大きい都市を本拠地にするチーム(ビッグマーケット)と、そうでないチーム(スモールマーケット)では、地元で得られる収入に差が出やすくなります。
- リーグ全体の収入も分配される:労使協定には、全国向けの放映権契約にもとづいてチームが受け取る収益分配金の扱いについての規定もあります。リーグ全体で得た収入をチームに分ける流れは、チーム間の収益分配計画とは別にも存在します。
- 戦力の均衡を支える仕組みは他にもある:サラリーキャップ、ラグジュアリータックス、1st Apron・2nd Apron、最低総年俸など、労使協定の仕組みも、チーム間の差が広がりすぎないように働きます。収益分配は、その中の「お金の面」を支える仕組みの1つです。
- 勝敗を直接決めるものではない:収益分配はチームの財政を支える仕組みで、強いチームを作れるかどうかは、ドラフトやトレード、契約などの編成の判断にかかっています。
Differences
サラリーキャップ、ラグジュアリータックスとの違い
どれも「お金」に関する仕組みですが、誰と誰の間のお金かと何のための仕組みかが異なります。
| 仕組み | 誰と誰の間のお金か | 役割 | 決めているもの |
|---|---|---|---|
| Revenue Sharing(収益分配) | チーム同士 | チームごとの収入の差を和らげる | リーグ(オーナー会議)が決める計画 |
| 選手の取り分(Designated Share) | リーグ・チームと選手全体 | 選手全体が受け取る総額を、BRIの49〜51%に保つ | 労使協定(CBA) |
| サラリーキャップ | (各チームの年俸総額の基準) | どの方法で選手と契約できるかの基準になる | 労使協定(CBA) |
| ラグジュアリータックス | 高額年俸のチーム → リーグ | タックスラインを超えたチームが税金を支払う。一部は支払っていないチームに分配できる | 労使協定(CBA) |
- Revenue Sharing(収益分配)
- お金の流れ:チーム同士
- チームごとの収入の差を和らげる
- 決めているもの:リーグ(オーナー会議)が決める計画
- 選手の取り分(Designated Share)
- お金の流れ:リーグ・チームと選手全体
- 選手全体が受け取る総額を、BRIの49〜51%に保つ
- 決めているもの:労使協定(CBA)
- サラリーキャップ
- お金の流れ:(各チームの年俸総額の基準)
- どの方法で選手と契約できるかの基準になる
- 決めているもの:労使協定(CBA)
- ラグジュアリータックス
- お金の流れ:高額年俸のチーム → リーグ
- タックスラインを超えたチームが税金を支払う。一部は支払っていないチームに分配できる
- 決めているもの:労使協定(CBA)
- 収益分配は年俸の基準を変えない:チーム間の収益分配はBRIに含めないため、分配金のやり取りがサラリーキャップの計算に直接入ることはありません。
- タックスの分配とは別のもの:ラグジュアリータックスで集まった税金のうち最大50%は、タックスを支払っておらず最低総年俸も下回っていないチームに分配できます。これは労使協定で決められた仕組みで、チーム間の収益分配計画とは別です。
※ BRIの範囲、選手の取り分、タックス収入の分配の詳細な条件は、公式CBAを参照してください。
For fans
ファンが知っておくと理解しやすいポイント
- 「分配金があれば補強し放題」ではない:分配金を受け取っても、サラリーキャップなどの基準額は全チーム共通で変わりません。補強のルールはどのチームも同じです。
- 選手の取り分は別に決まっている:選手全体が受け取る報酬は、労使協定でBRIの49〜51%の範囲に保たれます。チーム間の分け方とは別の話です。
- 「お金の流れ」を分けて考える:ニュースで「分配」という言葉が出たときは、チーム同士の収益分配なのか、タックスの分配なのか、全国放映権料の分配なのかを区別すると理解しやすくなります。
- 具体的な金額は出典を確認する:チームごとの分配額などは公式に公表されていない部分があります。報道で数字を見たときは、どの資料にもとづく数字かを確認するのがおすすめです。
関連ガイド:NBAサラリーキャップとは?(基本の仕組み・BRIとの関係)
関連ガイド:NBAの放映権とは?(全国放映権契約・収入の分配)
関連ガイド:NBAのチーム資産価値とは?(推計値の見方)
Glossary
関連用語
- BRI(Basketball Related Income)
- NBAのバスケットボール関連の収入。選手の取り分やサラリーキャップの計算のもとになる。CBAでは、チーム間の収益分配はBRIに含めない。
- Designated Share(選手の取り分)
- 選手全体が受け取る報酬の総額。CBAでBRIの49〜51%の範囲になるよう定められている。
- Board of Governors(オーナー会議)
- NBAの各チームの代表で構成される会議。2011年に新しい収益分配計画を承認した。
- 競争バランス(Competitive Balance)
- どのチームにも勝つチャンスがある状態。2011年の収益分配計画の目的として公式に挙げられている。
- 市場規模(スモールマーケット / ビッグマーケット)
- 本拠地の都市の人口や経済規模のこと。チケットやスポンサー、地元向けの放送などの収入に差が出る要因になる。
- 最低総年俸(Minimum Team Salary)
- 全チームが最低限支払わなければならない年俸総額。収入の少ないチームにも一定以上の年俸負担がある。
- サラリーキャップ
- 1チームが選手に払う年俸総額の基準となる上限。例外を使えば超えて契約できるソフトキャップ。
- ラグジュアリータックス
- 年俸総額がタックスラインを超えたチームが支払う税金。超過額が大きいほど税率が上がる。
リンクのない用語の詳しいガイドは準備中です。
Official sources
公式一次資料
- NBA Board of Governors ratifies 10-year CBA ↗
NBA Communications(pr.nba.com) ・ 2011年12月8日公開
チーム間の新しい収益分配計画の承認(分配する資金が従来の4倍、目的は競争バランス)の出典
- 2023 NBA Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2023年7月1日発効(2029-30シーズンまで)
第7条(Article VII)Section 1:チーム間の収益分配をBRIに含めないこと、全国放映権契約にもとづく収益分配金の扱い
- CBA 101: Highlights of the Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2024年11月作成
選手の取り分(BRIの49〜51%)、ラグジュアリータックス収入の分配の出典
このページは上記の公式資料をもとにした当サイト独自の解説です。協定の条文を転載・翻訳したものではありません。